笑顔のために

一意専心

2011年がスタートし、あっという間にひと月が過ぎた。2月に入り、エジプトでは長年続いた独裁政治に対するNo!が叫ばれ、日本では先行きの見えない政治のニュースが多いと感じます。
「今年はどんな言葉を選ばれたんだろう?」楽しみと共に、本社にお邪魔したら初めてお会いする若いスタッフの方が丁寧に出迎えてくださいました。インタビューの後、ミーティングをされるそう。
みんなの雰囲気に「順調なんだ」と感じインタビュー開始、すると社長から意外な言葉が飛び出しました。
「去年は、本当に大変な年だったんだ」。
一瞬で自分の気が引き締まりました。社長の表情からそれがすごく大きなことだと想像できたのです。


 「今年はいける!そう思った矢先の出来事で…」

順調に上り調子になっていた春が過ぎた6月。とても大きなことが起こったという。社長の頭は一気に真っ白。目先は真っ暗。「いや、ホントに大変だったんだ」と社長。目の前の社長は顔に絆創膏を貼っている。「これも家の犬に引っかかれて…、人生、いろいろ起こるな〜」と笑っているが、去年はそんな冗談をいうどころでは無かったのだろう。
「この状況、みんなでなんとかしよう!がんばろう。」そうみんなに語るのがやっとだったと社長。いつもいろいろと策を練り、それを元に社員と関わっている社長だが今回は全く違ったらしい。
その後11月にも。もうひとつ大きなアクシデントがあったという。「大変な年だった。ホントに。でもな、終わってみたら前年度を上回った結果が出てきたんだ」その言葉を聞いて、正直心の底からホッとした。
なぜか理由が?と尋ねると、「全くなにもしてないんだよ、それが。だから、なぜなのか自分でもわからない。でもな、不思議とあと一歩だった社員が結果を出してきたんだ。な、僕は何もしてないよな?」と大声で次長に呼び掛ける。


 営業だけじゃない、内勤も経理もみんなで頑張る会社に

「一人ひとりのがんばりだと思います。自分がやらなければ…という。一人がちょっとずつがんばった成果が集まった結果かと。僕たち内勤のものの意識も確実に変わりましたから」という小川次長の言葉と表情から、その時の衝撃が伝わってくる。「少しでも営業が力を発揮できる環境を」と裏から支えているのが企画の仕事。
売上を上げる営業がもてはやされ、内勤との扱いの差が激しかった業界。「それが嫌だったから」と語る角田社長は、独立してからは一貫して"みんなで"という考え方で通し、バランスをとってきたそうだ。その結果、営業上がりの社員さんたちの企画力が会社を支えるようになってきたと語る。
簡単に物が売れる時代は終わった。マニュアル通りの営業トークではなく、営業本人の人間力を磨き、お客様を思う本音だけがお客様に伝わる。そんな風に語る社長は、営業力だけを重要視していないという。同じ商品を扱う会社はたくさんある。その中で、きちんと実績を積んできたからこそ、信頼を得られ、新しい取引先での営業をさせていただけるようになってきた。そこには営業だけではなく、内勤として働く全員の努力が実を結んでいるという。
そんな大変な時期を、特別なことをせずに乗り越え、みんなの笑顔が見られた年末だったからこそ、今年は気を引き締めてるという。


 「今年は自分のために仕事をしようと思うんだ。」

平成12年に独立して10年が経ち、ふと振り返って見ると、自分は会社のためだけに働いてきたのではないか?と思えたという。確かに多くの経営者の方からお話を聞くとそのように感じることがある。会社を継続するために、ただ必死で突っ走ってきた。お客様のため、社員のため、それもあるが今年は自分の、そして家族のために仕事をしようと決めたようだ。
今年の初め、気持ちを引き締めるために社員に伝えた言葉“一意専心”は、これだ!と思ったことを一つ専門的にやり通せば、各自に新しい力が芽生えるのではないか?という思いからだ。社長は何に?と尋ねると「長くなるけれど………、端的に言うと“認める”ことかな」と2,3分後に言葉となった。
認める…、簡単な一言だがそれはとても難しい。
自分が先頭に立ち、指揮命令を出し、叱咤激励してきたスタイルを止め、まずスタッフの言うことを受け入れるところからスタートするという。「そうしたら、きっとスタッフが伸びると思うんだ。社長が変わらないと社員も変わらない。客観的に上から見たら、そんな自分になれたらカッコイイと思えたんだ」と笑顔の社長。今までのスタイルが原因で、スタッフのいいところを潰してきていたのかもしれないと。自分のために仕事を…という発想から“認める”ということへ?と何度も尋ねたが、社長は揺るがない。「そうだ!」。
想像してみて欲しい。社長が自分のことを認めてくれていると感じた社員がどうなるか?自分一人の時間にはいろいろ考えるという社長。その中で自分が目指す社長像を映像としてハッキリ描かれたのかもしれない。自分のために…と語る社長の言葉の先には、社員のみなさんの笑顔が見えた。自分のためが、会社や社員のためになる。そしてそれが、その先にいるお客様のためになる。そんな1年が始まり、大きな変化の一年になる予感がする。

今年は珍しく、インタビューを終えてから原稿にまとめるのに時間がかかりました。「自分のために…」と語る社長の先に見える、スタッフの方々の笑顔を表現する言葉が見つからなかったからなのです。
そんな時、本を読んでいた中にその答えを見つけました。「権力を捨てることによって、内的権威が磨かれる」(「こころの処方箋」河合隼雄著より)という見出しの文章を読み進むうちに、社長の姿が浮かんだのです。頼れる社長から、憧れの社長へ。社員さんから見た社長の姿が映像として浮かび上がり、やっとパソコンに向かうことができました。
毎年、お話を聞かせていただく中で、勉強させていただくと共に、いろいろな発見があります。本当にありがとうございます。そして、今後も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

2011年3月
インタビュー:川北睦子

 

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