笑顔のために

「知行合一」

今年も心躍るこの時期が来た。どんなお話が聞けるのか、ワクワクして出かけた。
誰もが目標を掲げる年明け2009年1月中旬、例年通り角田社長に今年の方針をお伺いした。
世間のニュースでは“不況”、“倒産”、“解雇”の文字が溢れる中、角田社長は力強く語ってくれた。
「出来れば社員にテレビなんか見るな!」と言いたいと。
「不況を言い訳にするな!世の中を見まわしてみろ、しっかり成長している企業もあるやないか!」と、自分にも言い聞かせているという。

厳しいといわれる状況の中、昨年12月に中途採用3名を迎え、4月には新卒採用3名が入社するという株式会社セーバー。
その可能性を秘めたスタッフたちに、新年、語ったこと、それは昨年方針である『自覚と自立』よりも、もっと基本的で重要なことだという。


 上手くいかなくなってきて気づいたこと

昨年の11月、角田社長は「なんか、思うようにいかへんな〜」と思い始めたという。そこで、視野を広げて周りを見てみた。そうしたら、がんばっているところは“動いている”と感じたそうだ。
そうして、自分を振り返ると、自分は「あー、知ってる、知ってる」「昔も同じようなことがあったからわかる」と、行動をしていなかった。そうして、社内を見まわすと、まさにベテラン社員も同じような状況になっていて、愕然としたという。
インターネットが普及し、自分の体を動かさずに知識を習得できる。それを自分の知識と思いこんで行動をしない。そんな姿を見て、「これではあかん!」と危機感を感じたと話してくれた。
そんな時に出会った言葉が『知行合一(ちこうごういつ)』である。王陽明がおこした学問である陽明学の命題のひとつで、実践を重視する思想である。社長が尊敬する西郷隆盛も、吉田松陰も同じことを説いている。
「我社は、逆の思想を唱える朱子学の『知先行後』になっていた。これでは、今のスピードの時代にはズレが生じてしまう」と気づいた。
それに気づいてから、自分の意識が変わり、仕事も遊びも自分が一番に行動しよう!と決めたという。


 過去の経験や知識が通用しない時代になった

このようなズレが生じてきた背景には、時代の変化が大きく影響しているそうだ。
社長同様、ベテランは経験年数が長い分、過去の知識は多い。それが逆に邪魔をしている。
というのも、今、お客様の意識は全く変わっている。10年前の知識や経験は全く役に立たない。
社員同様、お客様もインターネットで知識を習得できると同時に、この不況と言われる中で見えてくるのは、お客様の“本物を見る目の確かさ”だという。
いくらいい商品を扱っていても、それを売っている“人(こころ)”が本物でないと買ってはいただけない。そう、知識だけで理解したと思い、お客様の痛みや苦しみをわからない人は見抜かれるのである。
だから、社員の一人ひとりの目を見て言った。
「思ったら、すぐ行動しろ!動きもしないで答えを出すな。失敗して、試行錯誤することが大事や。そうせな、本当の価値も意味もわからへんから!やると決めたら、やる。それが、自分の人間性の向上やお客様からの信頼につながるんや!」と、私にも熱く語ってくれた。


 新人が強い理由

そうして、社長はベテランに冗談まじりに「新人に触らんといてくれな!」と言ったという。彼らは強い。まだ、自分でパソコンを買うことができない。だから、お客様の疑問や不安に答えるために、何かを調べようと思えば、自分の足で本屋へ行き、本を買い、自分でノートにまとめ、お客様にお伝えするしかない。その翌日伝えた内容がたとえ完璧でなくても、お客さまはその一生懸命さを感じ取ってくれるというのだ。
「すいません!そこまではわかりませんでした。もう一度、今日調べてきます!」と言えばいい。だからこそ、「いっぱい、失敗してこい。勇気出してやってこい!」と若いスタッフを送り出している。
そこで、12月に入社した若いスタッフに聞いてみた。「どうや、辛いか?」と。
そうしたらなんと、目を輝かせて「めちゃくちゃ楽しいです!」と返ってきたそうだ。大変だが、ハラハラドキドキが楽しいと。そしてしんどいのは当たり前だと言う。
角田社長も経験がある、新人時代は見るもの、触るもの、すべてが新鮮だ。だからこそ、「思ったら、すぐ行動!」ができるのである。
そこで、ベテランスタッフには「自分を一旦ゼロに戻せ!」と言った。そうして、「自分もスタッフと競争や。負けてられへんからな!」と角田社長は笑う。

 会社は社長のもんやない!

そんな角田社長、先日のミーティングで、うれしいことがあったそうだ。
会社は社員一人一人が作っていると言った時、素直な新人から質問が出た。

「でも、この会社は社長の会社ですよね?」
「いや、俺は代表で責任を取る役目なだけや。会社はみんなのもんや!
それぞれの立場で何ができるか考えて行動したらいい。
そうすれば、それが集合体になり、会社組織となるんや。」と伝えた。

そうしたら、目を輝かせて「僕らも役に立つんですね!」とまっすぐにこっちを見たと少し声を大きくして教えてくれた。現実はいいことより、辛いことのほうが多いかもしれない。だがこの仕事は、その辛さを乗り切ったとき、達成感が生まれ、お客様に喜んでいただけるすばらしい仕事なんだと経験から語る言葉には重みを感じる。
スタッフにこんな話をしたのも、友人が指摘してくれたからだと話してくれた。
「お前、代表取締役という立場に甘えていないか?俺は医者。お客さんの命を預かっている。平日ゴルフに行ったり、自分の都合で休みを取ることもできない。お前よりずっと働いているぞ。社長なら、社内で一番働かないといけないんじゃないか!?お前には誰もこんなこと言ってくれないだろうから、俺が言ってやるよ(笑)。」
「ありがたいな…」という角田社長は、少し優しい顔になった。


世の中の状況は厳しいはずである。だが、角田社長からは逆の印象を受けた。この厳しい状況を、社内を生まれ変わらせるいい機会と捉えているかのように感じるのだ。
角田社長のお話をお伺いして、今の状況をどう捉えるかで、未来が変わるんだと気づいた。2009年は、まだ始まったばかり。
株式会社セーバーがどう変化するか、とても楽しみな年になりそうだ。

2009年2月
インタビュー:川北睦子

 

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