笑顔のために

「自覚と自立」

2008年1月中旬、角田社長のもとにお邪魔して、今年の方針をうかがった。

昨年の年始に“常に考え、行動すること”という話を社員にして、その後、変化が見えた者もおったけど、見えへん者もおったんや。そこで、今年はもう少し分かりやすいように“自覚と自立”という話をしたんや。

と、いつもの温かい大阪弁で話す角田社長。
昨年と違うことは社員に話したあと、「社長の言っていた“自覚”ってこういうことですかね?」と上司に聞いている社員がいたという。その時の話も色々伺ったが、ここでは、角田社長の若かりし営業マン時代のことをお伺いすることにした。


 自分は弱いと分かっとるから

角田社長がこの営業職に就いたのは28歳だったそうだ。一緒に入社したのは22、23歳の新卒。そこで、上司となる先輩から「お前は今まで大きなメーカーに勤務して、経験もある。みんなと一緒とは違う。できてあたり前なんだ!」と洗脳されたと笑って話す。
そこからのスタート。違う視点から見ると、プレッシャーになるのではないか?とも思える状況の中、自分は弱いと分かっているという社長は絶えず自分でも自分を洗脳し続けた。そうして、仲間とはよきライバルとして競い合ったという。「自覚したというより、洗脳からやからな〜、今も洗脳しとるんかもしれんな!」と笑う。
だからあえて、社員には「自覚とは」という言葉の説明はしていないという。教えるとそれが答えで、それしかないと思ってしまうと。その言葉からは「気づいてほしい」という願いが感じられる。「教えられるより、自分で気づいたほうが強い!」と話していたことを思い出す。社員一人一人にさりげなく、気づかせるのがマネージャーの役目だという。これが社長としての自覚だと。


 結果やないんや、プロセスなんや!

「結果を出すのは簡単」と言う社長。角田社長とお会いして3年が経つ筆者は何度となく聞いた言葉だ。「きちんと当たり前のことをして、お客様のことを考え、心を込めて説明すれば、扱っているのはいい機器だから、皆に健康になっていただける。そして、喜ばれるんですよ。」と。それはきっと多くの成功と失敗を重ね、経験から学んだことだと思うが、まだ経験の少ない若者には伝わりづらい。そこで、角田社長が自分で“自立できたかな?”と思えた瞬間のことを聞いてみた。
「自分たちの仕事は一人で現場に入る。誰も助けてくれないし、サボってもわからない(笑)。運よく結果が出とる時はいい、結果が出ない時や、何しても上手くいかない。そんな時、めげないで、最後まで全力で自分にできることを遣り通せた時があった。もちろん結果はぜんぜんダメだった。でも、自分で“やり切った”と思えた瞬間、自分は自立できたかもしれないと思ったんや。」と振り返って話してくれた。
だからだろう、社員の自覚、自立はどこを見て判断するのか聞くと、「プロセスだ」という。「結果というものは、運よく出ることある。お客さんにたまたま優しい人がいて、その人がいっぱい紹介してくれたとか。だから、結果よりプロセスなんです。」と。
その言葉を聞いて驚いた。営業会社と言えば「結果が全て」だというイメージが強い。その中で「プロセス」を大事にする理由は何だろう。


 今、小3の娘が40歳になったら日本はどうなっとるか心配や。

「この会社にずーっといなければいけないとは言わない。独立してもいいし、転職してもいい、でもある程度、ここできちんと勉強して成長したらどこの会社でも通用すると思うんや。」と、社員の採用の時期に話してくれたことがある。先日も打合せ中、社員からの相談の電話に、叱咤しつつも激励で電話を切った姿を見た。「お前ならできるって!」と。毎日、全員から送られてくるメールを一つひとつ確認し、プライベートの事も心配する。「いやな、営業成績さえ上げてくれれば文句はないんや!」と言うのは照れ隠しかもしれない。
そんな角田社長は最近の若者を見て、「夢が無い感じがするんだ。満たされてるからかわからんけど・・・自分らの時代は必死だったからな・・・」と、日本の今後がかなり心配のようだ。このことは、他の経営者の方々からも嘆きのように聞く言葉である。「自覚や自立というのも“夢”や“目標”があるから、がんばれたり、失敗しても立ち直ってやれる気がする」と。そして、話は続き最後に「やったらできる!みんなを信じているんや」と話す社長からは、今の豊かな時代の中でやる気を見出せない若者に“夢を持って仕事をする楽しさ”を伝えたいという願いがひしひしと伝わってくる。


このインタビューを終えて思った。もしこの先自分自身が仕事や人生にちょっと行き詰った時、角田社長に相談してみよう!と。ほんの些細なことでもいい、きっといつもの怖い顔で叱りながら、最後には背中を押してくれるだろうと。

インタビューの後、もう少しお伺いしたくて電話をかけた。東京出張からの帰りだというその受話器の向こうから、「自分もまだまだや、仲間と会ったら、うんと先越されてたわ。今年もいくで!」と元気な声。今年は今まで以上に活発に行動されるようだ。

2008年2月
インタビュー:川北睦子

 

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